今回は、日産の名機FJ20ETエンジン用ターボのオーバーホールについてご紹介します。FJ20ETエンジンは、1983年2月にスカイライン2000ターボRSに初搭載され、その後シルビアやガゼールにも採用されました。このエンジンは、直列4気筒DOHC 16バルブを採用し、前年にトヨタ3T-GTEUエンジンでDOHC+ターボを先んじられた日産としては、何としても4バルブDOHCでのターボ車開発が急務でした。この翌年には矢継ぎ早にインタークーラー付きの「RSターボC」を世界初と銘打って発売し、2000ccでリッター100psを超える205psを実現。「史上最強のスカイライン」として技術力をアピールしました。
FJ20ETエンジンは、ギャレット社製のT3ターボチャージャーを搭載しています。このT3ターボは、日本初のターボ車セドリックのL20ETをはじめ、トヨタ初のターボエンジンM-TEUにも搭載され、当時のガソリンエンジン向けとして最先端のターボであったことは間違いありません。発売当初はタービンA/R0.63を採用し、同じ2000ccのL20ETよりも高回転域を重視したセッティングとなっていましたが、RSターボCとなってからはA/R0.48として低回転域での改善も図られています。
スカイラインがT3ターボを採用したのはこのDR30系だけで、次世代のR31系は日産の内製ターボに代わり、同時にエンジンも6気筒のRB20エンジンに変更されました。
今回オーバーホールしたターボは、長年の使用によりベアリングやシール類が劣化していたものの、経年劣化の範囲内で特に異常は見られませんでした。これらの消耗品を新品に交換することで、ターボの性能を回復させました。
T3ターボは現在もギャレット社から補修部品の供給がありますので、これからも安心して乗り続けていただきたいと思います。
今回のブログにFJ20ETのターボを取り上げたのはモーターファンテクノロジートッパーで、故兼坂弘の「毒舌評論」の復刻版#2がこのFJ20ETエンジンだったことが大きな理由です。
当時駆け出しのエンジニアだった私はこの「毒舌評論」をバイブルの様に何度も読み返した覚えがあります。
リンクを貼り付けますのでご興味のある方は40年前にタイムスリップしてみてはいかがでしょうか?
https://mf-topper.jp/articles/10004605
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